木材に彫刻を施すだけで、素晴らしい芸術作品を生み出すことができるのはご存知でしょうか?ただし、彫刻するのにふさわしい木とそうでない木があります。それぞれの木には2つの年輪があり、1つは春目に、もう1つは冬目というものです。一般的に、四季を通じて成長が一定である木のほうが彫りやすいといわれています。以下では、彫刻にふさわしい木の種類はどのように選べばいいのかについて、詳しくみていこうと思います。
1.バスウッド – 人気No.1彫刻用木材
通称ライムと呼ばれるバスウッドは、最高品質の木材とされることが多いため、彫刻するのに引っ張りだこの木材といえます。バスウッドの硬度は410lbfなので、そう簡単に割れることはありませんし、見た目もかわいらしく柔らかいのが特徴です。彫るのも簡単で、いろんなカットとサイズが揃っています。
バスウッドの木目はまっすぐで規則正しく、一方向に伸びており、グネグネと波を打ったり、おかしな節があったりすることはありません。また、色合いも柔らかで上品な感じです。バスウッドの中でも、窯で乾燥させたものと空気乾燥させたもの、2種類あります。
2.バターナッツ – 筆者のおすすめ
クルミ科の広葉樹の一種であるバターナッツは、ホワイトクルミやオイルナッツなど、いろんなニックネームで呼ばれています。バスウッドの木とウォールナットの木をかけ合わせたようなもので、品質が非常に似ています。ただし、ウォールナットはバターナッツよりも重く、柔らかいのが特徴です。バターナッツは彫刻がしやすく、囮や精巧な彫刻によく使用されます。ところがこの種は、バターナッツキャンカーと呼ばれるカビに脅かされていて、現在、絶滅危惧種に指定されているそうです。彫刻用としては初心者にも適しており、硬度は490lbfです。
3.アスペン
アスペンもまた、削りやすく、彫りやすい木材の一種です。アスペンはバスウッドよりも柔らかく、ヤンカ硬さの値は380kg/m3です。木目がしっかりしていて、気孔が閉じているのが特徴です。そのため、バスウッドに匹敵するほど、簡単に彫ることができるのです。木彫りしたアスペンを浸透性の高いオイルで完成させれば、素晴らしい光沢を放ち、美しい仕上がりになります。
4.パイン
木彫り初心者の方におすすめしたい木材は、パインです。ホワイトパインは、バスウッドよりも柔らかいので、木彫りにふさわしい木材となります。ただし、パインの節は彫りにくいので、なるべく避けたほうがいいでしょう。サザンイエローパインは、ホワイトパインよりも彫るのが難しく、ナイフだけでは彫るとなれば尚更難しいでしょう。そこで、刳り貫きと木槌を使えば、サザンイエローパインでも素敵な作品を彫ることができるかもしれません。
パインの唯一のマイナスポイントは、木目が一定しない点です。これは割れの原因になることもあり、せっかく作ったのに割れてしまうと悲しすぎますよね。割れないようにするコツとしては、彫る方向に気をつけることです。
5. シカモア
シカモアは、繊細な光沢を持つ木材を探している方にぴったりな選択肢です。バスウッドやバターナッツに比べると硬いですが、少し手を加えるだけで、見事な彫刻に仕上がります。また、ドレメルを使えば、バターのようにスルスルと滑らかに削ることができます。シカモアの柾目には、しばしば美しいレースのような木目が見られ、磨くとさらにキレイになります。